言葉は時代とともに変化する、確かに一般にはその通りです。


日本語の場合、江戸時代以前に書かれた書物を楽々と読める人は少ないでしょう。


しかし、フランス語の場合は事情が異なります。


長年にわたり、フランス語はほとんど変化していません。


このため、現代のフランス語を習得すれば、19世紀の作家の作品も読めるようになるのです。


それでは何故、フランス語は変化しないのでしょうか。


それは、17世紀に設立されたアカデミー・フランセーズのおかげです。


アカデミー・フランセーズは、フランス語の公的権威としての役割を担う機関であり、辞書の編纂といった活動を行っています。


同アカデミーの勧告は、法的効力を伴うものではないものの、語彙や用法、文法についての規範とされています。


アカデミー・フランセーズのこうした活動のため、時代の流れの中でフランス語が著しく変化することはなかったのです。


最後に、現代におけるアカデミー・フランセーズの活動の一端を紹介しましょう。


先にフランス語は長年の間ほとんど変化していないと述べましたが、現代においては、フランス語も日本語と同様、英語からの借用語を使用する例が増加しており、こうした傾向は新たな言葉が日々誕生しているテクノロジーの分野で顕著です。


こうした借用語の氾濫を阻止しようとするのもアカデミー・フランセーズの任務です。


たとえば、情報技術分野における「software (ソフトウェア)」という言葉については、その代わりに「logiciel」という言葉を使用するよう推奨しています。


こうした取り組みは、必ずしも成功しているわけではないようですが、安易な外国語の使用に対し一定の歯止めをかけるという意味はあると思います。


冒頭で述べた通り、現代のフランス語を身に付ければ、数百年にわたるフランスの書物の蓄積にアクセスできるようになります。


これは、フランス語の学習の大きな魅力であると言えるでしょう。